痛風(高尿酸血症)
2018.12.25
痛風(高尿酸血症)

痛風(高尿酸血症)とは
痛風(痛風発作)では、足の親指の付け根の関節などに激しい痛みが起こります。発作を予防するためには、生活習慣の改善と薬物療法を続けることが重要です。
<痛風とは:体内にたまった尿酸によって突然関節が腫れて激しく痛みます>
痛風発作は、尿酸値の高い状態が続くことで起こります。尿酸値は、健康診断などの血液検査でわかり、7.0mg/dLを超えた状態を高尿酸血症といいます。尿酸値が高いほど、そして、その状態が長く続くほど、痛風発作が起こるリスクは高くなります。痛風は男性に多い病気です。
高尿酸血症は、自覚症状がありません。しかし、尿酸値の高い状態が続くと、血液に溶けきれなかった尿酸が結晶化し、関節などにたまっていきます。その結果、突然関節が腫れて、激しく痛む痛風発作を引き起こします。
多くは、足の親指の付け根の関節に起こります。痛風発作が収まれば痛みは消えますが、治療をせずに放置しておくと、ほとんどの人が再発します。再発を繰り返すうちに、発作を起こす間隔は短くなっていきます。
痛風発作を何度も繰り返していると、尿酸の結晶が多量になり、その部分がこぶのように膨れる痛風結節ができます。痛風結節は、足の親指の付け根の関節に限らず、肘、膝、耳などにもできることがあります。
高尿酸血症の問題は、痛風発作や痛風結節を起こすだけではありません。高尿酸血症が続くと、痛風発作を起こしたことがなくても、腎障害や尿路結石を発症しやすくなります。
さらに、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常病、高血圧といった生活習慣病を合併しやすくなることがわかっています。こうした生活習慣病を放置していると、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気の発症リスクが高くなります。
<痛風の原因:体質、食生活、薬などによって尿酸値が高くなります>
尿酸値が高くなる主な原因は、体質、食生活、薬の3つです。
[体質]
主に遺伝が関係していると考えられています。両親や兄弟などの近親者に尿酸値の高い人や痛風の患者さんがいる人は、尿酸値が高くなる傾向にあります。
[食生活]
普段からプリン体の多い食品をたくさん食べていると、尿酸値が上がります。ただし、プリン体はほとんどの食品に含まれています。
そのため、食品の種類によらず、食べすぎは尿酸値を上げることになります。また、お酒に含まれるアルコールも尿酸値を上げます。
[薬]
薬のなかには、尿酸値を上げてしまうものがあります。例えば、高血圧やむくみなどの治療に使われるループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬は、尿の量を増やす一方で、尿酸の排泄を妨げるため、尿酸値を上げます。また、アスピリン系の痛み止めは、少量を使うと尿酸値を上げることがあります。
<痛風の治療:生活習慣の改善や薬物療法で尿酸値を下げます>
痛風発作を起こした場合は、食生活の改善、運動と併せて薬物療法が行われます。
[食生活の改善]
最も重要なのが肥満の解消です。皮下脂肪がたまると尿酸の排泄が妨げられ、内臓脂肪がたまると体内でつくられる尿酸が増えます。そのため、肥満のある人は尿酸値が高くなります。肥満の解消には、食事量の調節などが必要です。
尿をアルカリ化する工夫も大切です。尿酸の多くは、尿に混じって排泄されます。尿をアルカリ化すると、尿酸が尿に溶けやすくなり、尿路結石ができにくくなります。尿をアルカリ化する食品には、野菜、海藻類、乳製品などがあります。
[運動をする]
軽いジョギングや水泳のような息が上がらない程度の有酸素運動は、尿酸値を下げる効果があります。一方、強度の筋力トレーニングや短距離走のような激しい運動を短時間に行う無酸素運動は、逆に尿酸値を上げてしまいます。適度な有酸素運動を定期的に行いましょう。
[薬物療法]
尿酸値を下げる薬を内服する治療が行われます。尿酸値を下げる薬は、大きく分けて2種類あります。
1つは、体内で尿酸がつくられにくくする薬で、フェブキソスタットやアロプリノールなどがあります。体内でつくられる尿酸の量が多いタイプの人に使われます。もう1つは、尿酸を体の外に出しやすくする薬で、ベンズブロマロン、プロベネシドなどがあります。尿酸の排泄量が低下しているタイプの人に用いられます。
薬物療法では、まず尿酸値6.0mg/dL以下を目指します。そのためには、最初のうちは毎月、尿酸値が安定してからも年に数回は、尿酸値を測定して薬の量を決める必要があります。
痛風発作は一度起こってもしばらくたてば治まり、尿酸値も薬物療法を始めると下がります。そのため、治ったと勘違いをして治療をやめる人が少なくありません。しかし、生活習慣の改善や薬物療法は、長く続けていくことが基本です。
佐藤あつしクリニック 院長
医学博士 / 日本内科学会認定総合内科専門医 / 日本血液学会認定専門医・指導医 / 日本消化器病学会認定専門医 / 日本消化器内視鏡学会認定専門医 / 日本医師会認定産業医 / 日本医師会認定健康スポーツ医 / 日本スポーツ協会公認スポーツドクター/愛知県医師会認定かかりつけ医
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