夜尿症
2019.10.13
夜尿症
おねしょと夜尿症ってどう違うの?
5歳未満の子どもでは、おねしょ(夜寝ている間の尿もれ)といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続く場合は「夜尿症」と診断され、治療が必要な場合があります。
どうして夜尿症になるの?
寝ている間に作られる尿の量が多すぎたり、膀胱に尿を十分にためられないことが関係しています。夜尿症の場合、膀胱が尿であふれそうになっても起きられないため、寝ている間に尿もれをしてしまいます。
夜尿症がある子どもはどのくらいいるの?
・夜尿症はアレルギー疾患に次いで2番目に多い小児の慢性疾患といわれています。
・日本の小中学生を含む5~15歳の約80万人 (推定)に夜尿症があると考えられます。
夜尿症が与える影響は?
夜尿症は子どもの自尊心を低下させ、自信をなくしたり、学校生活や友人関係に影響を与えることがあります。
夜尿症は自然に治るの?
・一般的に夜尿症は成長とともに自然に治癒します。
・1週間で夜尿が3回以上ある場合は、3回未満と比べて自然に治りにくいといわれています。
・治療後、半年までに約80%の子どもで症状が軽快したという報告があります。また、治療後2年で治癒した子どもは75%以上と報告されています。早めに治療することで治癒率が高くなります。
夜尿症にはどんな治療法があるの?
・初診時には問診や尿検査を行います。
・夜尿症と診断されると、まずおねしょ日誌などを用いながら、生活改善に取り組みます。
・生活改善により夜尿症の改善がみられる場合は継続し、改善しない場合は薬物療法やアラーム療法で治療することが推奨されています。
夜尿症の治療ってどんなことをするの?
①生活改善
まず生活改善からはじめます。
*早寝、早起きをし、規則正しい生活をする(朝食と昼食はしっかり摂りましょう。夕食後から寝るまでの時間を2時間程度あけるようにしましょう。夕食後から寝るまでの時間が短いと、おねしょをしやすくなります。)
*水分の摂り方に気を付ける(日中、水分をしっかり摂りましょう。夕食後はコップ1杯程度までにしましょう。)
*塩分を控える
*便秘に気を付ける
*寝る前にトイレに行く
*寝ているときの寒さ(冷え)から守る
*夜中、無理にトイレに起こさない
便秘は夜尿症と関係があるの?
・腸に大量のうんちがあると膀胱を圧迫するため、夜尿症に影響を与える可能性があります。うんちの回数が少ない(週2回以下)、うんちが硬くてなかなか出ない、排便後もうんちが残っている感じがする場合は、便秘かもしれません。
・便秘を改善することで、夜尿症の子どもの約6割が夜尿症も軽快したと報告されています。
・大腸を刺激するために、朝起きたらコップ1杯の水を飲みましょう。食物繊維が豊富な野菜・果物・豆類・芋類などをバランスよく摂ることを心がけましょう。
②薬物療法
・夜尿症の薬はいくつか種類があります。
*尿の量を調節する働きをもつ薬:体内で尿の量や水分を調節しているホルモンに似た成分を補い、尿量を減らします。
*膀胱の収縮を抑える働きをもつ薬:膀胱の緊張をゆるめ、膀胱の収縮を抑えることで、尿をためられるようにします。
・夜尿症の薬は年齢や症状などに応じて使い分けたり併用したりします。医師の指示にしたがってください。
③アラーム療法
・アラーム療法とは、夜尿を本人に気づかせ、寝ている間にためられる尿の量を増やし、夜尿回数を減らしていく方法です。
・専用の機械を使って治療します。
・パンツや専用パッドにセンサーをセットします。夜尿をすると、音、光、バイブレーションなどによるアラームが出ます。
・アラーム療法は、毎日実践する必要があるため、本人のモチベーション(意欲)とご家族の協力が必要になります。
佐藤あつしクリニック 院長
医学博士 / 日本内科学会認定総合内科専門医 / 日本血液学会認定専門医・指導医 / 日本消化器病学会認定専門医 / 日本消化器内視鏡学会認定専門医 / 日本医師会認定産業医 / 日本医師会認定健康スポーツ医 / 日本スポーツ協会公認スポーツドクター/愛知県医師会認定かかりつけ医
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