高血圧
2018.12.03
『高血圧』について
はじめに
高血圧があるけれど放置してしまっている人は、“高いとなぜ悪いのか”を知れば、今度こそ血圧を下げようと思えるはずです。高血圧について知りましょう。
高血圧とは
高血圧とは、血液が血管を押す圧力が高くなっている状態のことをいいます。
高血圧の診断基準は、診察室血圧(医療機関の診療室で測る血圧)でみる場合、上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上です。
現在、日本に高血圧のある人は約4,300万人いると推定されています。年齢が上がるにつれて増加し、60歳代では男女ともに約6割、70歳代では男性の約8割と女性の約7割に高血圧があります。
そもそも血圧とは?
血圧とは、血液が血管内を流れるときに血管壁を押す圧力のことです。上の血圧と下の血圧の2種類があります。
■上の血圧(収縮期血圧)
心臓が収縮して、心臓内の血液を送り出したときの血圧です。大量の血液が勢いよく流れるため、血管壁に最も強い圧力がかかります。
■下の血圧(拡張期血圧)
収縮していた心臓が拡張して、元に戻るときの血圧です。血管壁にかかる圧力は最も弱くなります。
先述の高血圧の診断基準には、上の血圧と下の血圧、それぞれに基準値がありますが、どちらか一方だけでも基準値より高いと高血圧と診断されます。
血圧が上がる原因
“年をとると血圧が上がるのはしかたがない”と思っている人は少なくありません。確かに加齢は要因の一つですが、高血圧になる大きな原因は、血管にダメージを与える生活習慣を長年続けることです。
その主な習慣のひとつは、塩分のとりすぎです。高血圧になる人は食塩の摂取量が多い傾向にあるのです。また、過度の飲酒や運動不足、肥満、喫煙といった生活習慣を続けていると、血管が障害されて弾力を失い(動脈硬化)、血圧が上がりやすくなると考えられています。
血圧が高くなるほど脳卒中や腎臓病のリスクが上がる
高血圧があっても特に症状は現れません。しかし、放っておくと、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や末期腎不全のような大きな病気を発症することがあるので注意が必要です。また、心筋梗塞や認知症などの病気のリスクが上がることが多くの研究で報告されています。
高血圧が脳・心臓・腎臓に影響しやすいのは、これらの部位の血管の構造に原因があります。脳・心臓・腎臓の血管は、太い血管からすぐに細い血管につながっているため、高血圧があると、これらの細い血管にさらに大きな負担がかかり、血管が壊れて、脳卒中や末期腎不全などの重大な病気につながってしまうのです。
すでに高血圧がある人でも、生活習慣の改善や薬で血圧を下げれば、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが下がります。血圧を管理することは、脳や心臓、腎臓を守ることにつながります。
佐藤あつしクリニック 院長
医学博士 / 日本内科学会認定総合内科専門医 / 日本血液学会認定専門医・指導医 / 日本消化器病学会認定専門医 / 日本消化器内視鏡学会認定専門医 / 日本医師会認定産業医 / 日本医師会認定健康スポーツ医 / 日本スポーツ協会公認スポーツドクター/愛知県医師会認定かかりつけ医
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