よくある質問
2020.04.18
新型コロナウイルス感染症がご心配の方へ

日本全国に緊急事態宣言が出されました。このため、「新型コロナウイルスに感染しているのか」あるいは「そうでないのか」を心配されてクリニックを受診する患者さんが増えてきました。経験を積んだ医師でも発症初期の新型コロナウイルス感染症は一般的な風邪と区別ができません。これが新型コロナウイルス感染症の困った特徴です。
新型コロナウイルス感染症の症状の経過は、感染してから約5日間(1〜12.5日)の潜伏期間を経て、発熱や咳、喀痰、鼻汁などの呼吸器症状などが出現します。一部の患者さんでは嘔吐、下痢などの消化器症状も出現することがあります。これらの風邪症状が比較的長く、約7日間続くという特徴があります。さらに、発熱の程度に比べて、強い倦怠感を訴えることが多いのも特徴です。
普通の風邪やインフルエンザ、急性胃腸炎の場合は、発症から3〜4日目までが症状のピークで、その後に症状が改善していくのがほとんどです。新型コロナウイルス感染症の違いは、症状が普通の風邪に似ているものの、症状の経過期間が長いということです。新型コロナウイルス感染症は、その後に症状が1週間前後続き、約8割は自然に軽快して治癒し、約2割は肺炎を合併します。ただし、基礎疾患がある方や高齢者の場合は、経過の早い段階で肺炎になってしまうこともあるため、より注意が必要です。
このように発症初期には新型コロナウイルス感染症であると診断することが難しいので、一般の方々にお願いしたいことは、風邪の症状がある時は「自分は新型コロナウイルス感染症かもしれない」と考えて行動することです。新型コロナウイルスに感染しても、ほとんどの人は軽い風邪症状で治ります。現時点で特効薬はありませんので、バランスの良い食事を摂り、しっかりと休養し、体力や免疫力を高めておくことが大切です。もう一つ大切なことは、症状が軽い期間でも他の人にウイルスをうつす可能性があるため、他の人との接触を避けることです。
自分が重症の肺炎にならないために、そして周りの人にうつさないためには、風邪症状のある数日間は自宅でしっかり安静にして自分を隔離して過ごしてください。少しでも「風邪かな?」と思ったら、無理をしないで仕事や学校はすぐに休みましょう。
患者さんから「新型コロナウイルス感染症かもしれないのに自宅安静なんて怖い、症状が辛くても病院に受診してはいけないなんて不安だ」と聞かれますが、初期の症状は軽いので自宅安静できます。医療崩壊を防ぐためにも直ぐに病院を受診しないでください。しかし、自宅安静できないほどに症状が強い時は、重症の新型コロナウイルス感染症であるかも知れません。まずは最寄りの保健所に設置されている「帰国者・接触者相談センター」へご相談ください。
繰り返しますが、『風邪かな?』と思ったら、まずは自宅安静です。「誰かにうつしてしまったらどうしよう」と考えることが新型コロナウイルスを早期に終息させるために大切です。
参考文献:【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:どうしていま、『風邪をひいたら自宅安静が大切』か」中山久仁子、Web医事新報、2020年03月07日発行
佐藤あつしクリニック 院長
医学博士 / 日本内科学会認定総合内科専門医 / 日本血液学会認定専門医・指導医 / 日本消化器病学会認定専門医 / 日本消化器内視鏡学会認定専門医 / 日本医師会認定産業医 / 日本医師会認定健康スポーツ医 / 日本スポーツ協会公認スポーツドクター/愛知県医師会認定かかりつけ医
詳細プロフィールはこちら